じてんしゃ雑貨店「千輪」さんが1周年を迎えました / ご報告

鳩の街通り商店街に新しい仲間が増えて1年経ちました。周りの住民は「やっと近くにできたか」と嬉しくなったものです。坂が多い東京の中でも道が平坦で狭い墨田区では自転車移動が主流です。自転車人口が単に多いだけでなく、自分たちで自転車のフレームを作る人、オリジナルの自転車を組む集団(オリジナルと言ってもカキ氷を作ったりコーヒー豆を挽く特殊な自転車ですが)、レトロ自転車専門の店など自転車にまつわる場所や人が多様です。ここまで話を進めていると自転車屋さんができたのかと思われるかもしれませんが、鳩の街通り商店街にできたお店「千輪」さんは自転車屋さんではありません。自転車雑貨のお店です。自転車の販売はしていません。


修理するよりも安い値段で新しい自転車が買える今、自転車を簡単に捨ててしまったり廃棄してしまう人を目の当たりにしてきた千輪さん。この流れに一石を投じようと勤めていた自転車屋さんから独立して始めたのが自転車雑貨のお店です。動物の形をしたライトや、干しているとパンツに見えてしまうくらい可愛いサドルカバーなどを販売。自転車をユニークな雑貨で彩り「これは自分の自転車だ」という意識を持ってもらうこと、そして自転車を大切にしてもらうことを目指しています。なんとなくおわかりいただけるかもしれませんが、千輪さんは本当に自転車が好きなんですよ。だから簡単に捨てられてしまうのが耐えられなかった。

繰り返しますが、鳩の街通り商店街にやってきて1年が経ちました。チャレンジスポット!鈴木荘の真ん中で朝から晩までお店を開けて、ご近所さんの自転車のパンクを直したり空気を入れたり、自転車好きの人たちと自転車トークに花を咲かせたり、依頼されたメンテナンスをしたり、テレビの取材に対応したり、ご近所のおばあちゃんと話したり。お店の前に人の姿が見えない日はほとんどありません。(といっても私が見ている範囲内で、ですが)


1周年を迎えたその日の朝、長谷川さんが店の扉を開けようとすると、ガラス扉にたくさんの黄色い付箋が貼られていました。「何かのいたずらかな」と思ったでしょう。でも書いている内容は、千輪さん1周年を祝うメッセージばかりです。さらに手作りの花束。ご近所の方々が計画していたサプライズでした。当日は、常連の林さんの長男さんお手製のカレーが差し入れられ、自転車部は珈琲ミル自転車を動員して1周年パーティーを実施しました。これといって形式ばった何か(スピーチとか)があったわけではありませんが。訪れる人がそれぞれ好きな方法で、この自転車雑貨のお店「千輪」さんの1周年を祝っておられました。






「これはもう辞められませんね」

うつむき加減で少し笑いながらのいつもの調子でおっしゃった千輪さん。その頭の中には色々な思いが渦巻いていたはずです。ようやく1年、まだまだ1年、たったの1年。千輪さんが目指している価値観の変化は、ゆっくりと(でも着実に)少しずつ実現していくものです。なるべくゆるやかに継続し、その実現に少しずつでも近づいていけばいいな。と、同じ商店街のメンバーとして思います。(商売なんだからそんなゆるいこと言ってらんねーよ!って思う人もいるでしょうけどね。)


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